よく「何をするにも体が資本だ」という言葉を耳にします。「体が資本なんだから無理禁物だよ」など、心配で声掛けすることもあるでしょう。
「資本」とは、商売や事業をする際に必要な元手・基金という意味です。資本である体が、体調を崩していたり疲労をためたりしていると、パフォーマンスが下がってしまいます。生活をより豊かにするため「健康」も資本だとする考え方があります。
人生を豊かにし、裕福な暮らしをするために重要な『健康資本』についてまとめました。
医療経済学における「健康資本」とは
「医療経済学」という学問では「健康資本」という概念があります。健康は消費されるものである一方で投資するべき資本であるという考えです。 健康は「健康的でいられる時間」を延ばすことで生涯収入を増やしたり幸せに暮らすことにつながるストックであると定義されました。 アメリカの健康経済学者および経済学教授であるマイケル・グロスマン(Michael Grossman)によると、健康がどのようにして人の幸福につながるかに関しては、3つのパターンがあります。
【消費】
人は健康であるだけで気分が良く、幸福に感じます。この観点から健康は消費されるものであり、健康は消費されることで直接的に幸福度を上げるという考え方です
【投資】
人は健康的な食事や運動、医療を受けることなどを通じて、健康を維持します。病気にならずに活動的でいられる時間を延ばし、その時間を自分の好きなことに充てることで幸福になる、健康は投資を通じて間接的に幸福度を上げるという考え方です。
【資本】
人は、健康的な生活や医療を受けることで健康という資本、つまり「健康資本」をストック(貯金のような形)として蓄積することができる一方で、加齢や不健康な生活によって健康資本は減少するという考え方です。
健康はストックであり年齢を重ねるとともに少なくなっていきます。一方で、健康的な食事、運動、予防医療などを通して投資することで、そのストックを増やすこともできます。
裕福層は『健康資本』を意識し、増やすための行動を行っています。
投資する前に健康診断を
『健康資本』を増やすには、投資する必要があります。
株式などへの投資をする際、投資先の企業がどのような状態か調べます。 健康投資についても同様です。投資先、つまり自分の体がどのような状態かを知ることが大事です。健康診断を受け、自身の体調を確認しましょう。
健康診断は1年に1度受ければよいという意識の方も多いかと思います。理想的には1年に2回受けた方が、より正確に健康状態を認識することができます。 国民健康保険や会社の健康診断ではどちらか年1回しか受けられませんが、民間の健康診断サービスを利用すれば、追加で健診を受けることができるでしょう。
人間の体も1年経過すると体調が変化する可能性は多いにあります。1年に1度とせず、コストを払ってでも正確に健康診断で体調をチェックすることをお勧めします。
健康投資を行い、生活習慣を改善
『健康資本』のストックを蓄積するために投資し、消耗を少なくすることが理想の形です。
健康診断で把握した自身の体調の不安事項を解消することはもちろん、普段の生活習慣の改善するために投資を行いましょう。
運動不足を解消するための健康投資
スポーツジム利用料、ウォーキングシューズなど備品代ほか
食生活を改善するための健康投資
バランスよい食事のための食材、健康食品購入費、天然水ウォーターサーバー利用料ほか
健康状態を管理するための健康投資
年2回の健康診断、健康アプリ利用料ほか
睡眠の質を高めるための健康投資
快眠まくら、快眠ベッドなどの寝具購入費ほか
病気に備えるための健康投資
医療保険料、個人年金保険料、置き薬代ほか
裕福層は上記のような投資も、より質の良いものを選び、『健康資本』を増やしています。
まとめ
健康な状態で仕事をし、収入を得る。その状態を得るために使うお金は「健康投資」であり、自身の人生を長く楽しむために必要なことだと考えられます。積立NISAやiDeCoなど様々な投資の制度を利用して投資を行い老後の生活に備えるように、生活習慣の改善といった健康への投資を始めてみてはいかがでしょうか。